特集「コロナ禍と棚田」

県境をまたぐ移動や三密を避けるなどの制限により、交流活動が活発な棚田ほど影響があるのでは……と、いくつかの棚田地域の方にお話を伺ったところ、オーナー制・体験やイベント・棚田米の販売などの課題を、知恵と工夫と地域のマンパワーで果敢に乗り切ろう! と頑張っています。棚田ファンの皆様、できることから応援を!!

大山千枚田 千葉県鴨川市

石田三示さん 大山千枚田保存会

大山千枚田 Ⓒ特定非営利活動法人大山千枚田保存会

地元の力での田植え Ⓒ特定非営利活動法人大山千枚田保存会

オーナー制は会費が前納なので4月の収入はさほど変わりませんでしたが、個人オーナーの田植えは中止。地元の力で機械も併用し例年通り2日間で完了。地域のマンパワーにも自信を持ちました。6月の草刈りまで中止、その先は未定です。また体験活動の中止は収入減となっています。自然観察など学校関係の体験は夏まで予定が入っていませんが、次世代との交流という意味もあり、秋以降に状況が変われば安全な運営に心がけ是非復活させたいです。

棚田米は、観光の停滞で減少した地元ホテルや旅館向けの『地産地消分』を、棚田オーナーにご案内したところ大好評で、昨年並みの量は販売できそうです。ごんべい(農家レストラン)は5月29日から再開。客足は戻りつつあります。

房総では昨年の台風被災からコロナへと災いが続いている感があります。収入減もですが、リアルな体験・交流活動自体が出来ないことは現地にとって相当痛手に思います。今後、終息に目途が付き次第、順次元に戻し、活動を再開していきたいです。

上勝の棚田 徳島県上勝町

澤田俊明さん NPO 法人郷の元気 代表理事

webビデオツールでリモート会議

webビデオツールでリモート会議

オーナー制度はこぢんまりと続いています。棚田集落が高齢なこともあり、感染防止の観点からやむを得ず、10年継続のオーナーを受け入れ農家側からお断りした例もありました。逆にオーナー予定者からキャンセルもありました。田植えは兵庫県(関西)からの移動が困難となり不参加オーナーがありました。イベントは、恒例の早乙女田植えはチラシをつくらずPRを控えました。連携して実施している11月のライトアップ(今年は八重地の棚田)は準備していますが、どうなるか。

一方で新たな試みとして、WEBビデオツールを活用した「かみかつ棚田ウェブ談義所(仮称)」や「上勝棚田ウェブフェスタ(仮称)」の取り組みを立ち上げる予定があります。これは、上勝で2011年に行われた全国棚田(千枚田)サミットの会場となった4つの棚田地区(八重地、市宇、田野々、樫原)が連携する『上勝棚田未来づくり協議会』の活動の一環です。上勝と各都市の方々が距離を超えてウェブ上で交流できる空間を目指したいです。

上勝に限らず棚田地域は一般に都会から遠いですが、コロナ後は毎日出社しなくても良い社会、となれば、町内に長期滞在してもらう拠点として民宿等にテレワーク環境を整える等も有効と思います。棚田地域振興法による指定棚田地域にもトップグループで認定されました。今後の変化と地域を見据え、前向きに行きたいと思います。

稲倉棚田 長野県上田市

大山慧一郎さん 稲倉の棚田保全委員会 事務局長

青空の下での総 会

青空の下での総 会

交流館は4月9日から5月末まで休館でした。今年のオーナーは過去最大の95組で、田植えには250人以上集まる予定だったのですが、オーナーの9割が首都圏の方のため中止。代わりに毎月稲の成長を伝える写真を送りながらコミュニケーションを深めたいと考えています。作業については、コロナの影響を見越して春先から準備していたため、結果的に田植えは例年よりも1週間ほど早く終えました。知り合いや口コミ等で毎日地域の方々が手伝いに来てくれたのも助かりました。コロナで休業中の鹿教湯温泉にある旅館の従業員の方々も手伝いに来てくれるなど、例年になく地域一丸となり取り組みました。

棚田米の販売はGWの来訪者もなく、夏も引き続き厳しい見込みです。市役所や棚田CAMP参加者に棚田の厳しい状況を伝えたところ、20袋ほど売れ助かりました。大好評の棚田CAMPでは日中に農作業し、棚田に泊まっていただけるような新しい取り組みも考えていき、棚田CAMPから棚田ファンへという方を増やしたいです。

金銭面の減少もありますが、イベントや農作業を通じた交流が滞るのは痛いです。来年以降の危機感もありますが、ここは踏ん張りたいです。

白米千枚田 石川県輪島市

堂前助之新さん 白米千枚田愛耕会 代表

市民ボランティアによる田植え

市民ボランティアによる田植え

オーナー制は、田起こし(4月上旬)、あぜ塗り、田植えは地元で実施しました。現在210組(新規40組)で首都圏60%、県内30%、他の地方10%のため、集まるのは困難です。例年田おこし当日にマイ田んぼを選びますが、今年は愛耕会で田んぼを決めて全員に写真を送付しました。令和元年から発行している「白米千枚田あぜ道便り」では今回のニュースがコロナ関連となりました。

田植えは輪島市民と経済界の方約80名に手伝ってもらい1日で完了しました。経済界は今まで資金援助を頂いていましたが、初めて現地においでの方もあり、関係が深まりました。6、7、8月のオーナー草刈りは中止。9月の稲刈りはオーナーと一緒の稲刈りを考えています。9月19〜22日の4連休で分散作業を検討中です。

お米の販売は、千枚田ポケットパークもGW休館で減少。しかし棚田オーナーへの案内とネット通販は予想以上で昨年並みの売り上げは確保できる見込みです。観光面は夏のキリコ祭りやスポーツ大会も中止で千枚田を訪問される方も少なくなりますが、おもてなしにつとめ、ここは頑張って乗り切っていきたいです。

◇ 認定NPO法人棚田ネットワーク会報誌「棚田に吹く風」116号(2020年夏号)より転載

【会報誌】「棚田に吹く風」116号(2020年夏号)を発行しました。

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